🔍 はじめに
多くの経営者が最初に見る数字は「平均値」や「合計値」です。「今月の平均単価は〇〇円でした」「合計売上は先月並みでした」といった報告は、一見現状を把握しているようですが、実は最も重要な「なぜ?」を見逃している可能性があります。
データから本当の「意味」を導き出し、正しい意思決定を行うためには、「比較」と「分解」という2つの視点が不可欠です。
1. 比較の視点:「先月比」だけでは不十分
データを見る際は、必ず複数の軸で比較しましょう。
| 比較軸 | なぜ重要か? | 意思決定への影響 |
| 期間比較(例: 前年同月比) | 季節性や長期トレンドを考慮し、真の成長を判断する。 | 前年同月比でマイナスなら、景気やトレンドの変化に対応した施策が必要。 |
| 目標比較(例: 予算達成率) | 計画とのズレを把握し、施策の進捗を評価する。 | 予算未達なら、原因を深く掘り下げてテコ入れの優先度を上げる。 |
| セグメント比較(例: 顧客層別) | どの層が頑張っているか(足を引っ張っているか)を特定する。 | 50代の顧客の単価が低いなら、その層に響く商品構成に見直す。 |
2. 分解の視点:「全体」を疑い、細部にフォーカス
全体合計が良い数字に見えても、その内訳(セグメント)を分解すると、実は深刻な問題が隠れていることがあります。これは「ドリルダウン分析」とも呼ばれます。
例:Webサイトのコンバージョン率(CVR)1%で満足していませんか?
- 分解前(全体): CVRは1.0%で目標達成。
- 分解後(地域別):
- 関東地方からのアクセス:CVR 2.0%
- 地方からのアクセス:CVR 0.3%
- 導かれる意思決定:
- 地方からのアクセスは、配送やサポート体制の不安を感じている可能性がある。地方向けの「無料相談窓口の強化」や「送料優遇キャンペーン」が必要だと判断できます。
平均値はあくまで参考です。特に中小企業はリソースが少ないため、「どこに問題があり、どこにチャンスがあるか」をピンポイントで特定する分解能力が、施策の成功率を大きく左右します。
📌 まとめ
データから意味を読み取るには、単純な平均や合計ではなく、「何と比べているか」「どこまで細かく見ているか」が重要です。次回の記事では、売上低下の裏にある「真の原因」を見つけるための要因分析のステップを解説します。


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