初めて業務プロセス図を描くと、タスクや矢印が増えすぎて、すぐに巨大で複雑な「スパゲッティ図」になってしまいがちです。これでは誰にも伝わらず、改善どころか混乱を招きます。BPMNには、この複雑さを解決するための「階層化」という強力なテクニックがあります。それが、サブプロセスと参照です。本記事では、図をシンプルに保ちながらも、必要な情報を隠さない「賢いプロセス図のまとめ方」を解説します。
1. 「スパゲッティ図」が生まれる原因:プロセス図を複雑にしてしまう要素
業務プロセス図が複雑化する主な原因は、「詳細に描きすぎる」ことです。
- 問題: 顧客への挨拶や資料の印刷といった細かいタスクまで一つの図に詰め込んでしまう。
- 結果: 図が横にも縦にも広がり、全体の流れ(フロー)が見えなくなります。
2. 複雑さを隠す技術1:サブプロセス(埋め込み)の使い方
サブプロセスは、特定のタスクを、さらに詳細なプロセス図に展開するための記号です。
- 利用シーン: 「見積もり作成」のように、それ自体が一連の小さな作業(データ収集、価格決定、承認など)から成り立っているタスクを、サブプロセスとして一つにまとめます。
- 効果: メインの図では「見積もり作成」という一つのタスクとして表示され、図がシンプルになります。詳細を知りたい人だけが、サブプロセス図を別に見れば良いのです。
3. 複雑さを隠す技術2:グローバルなプロセスを参照する
参照記号は、複数のプロセスで共通して使われる業務(例:一般的な承認フロー、在庫確認フロー)を別図として描き、それをメインの図から呼び出す際に使います。
- 利用シーン: 受注プロセスと発注プロセスで、共通の「支払い承認プロセス」がある場合。
- 効果: 共通プロセスを毎回描かなくて済むため、図の重複がなくなり、修正も一箇所で済みます。
4. 【まとめ】全体像はシンプルに、詳細は必要な人だけが確認できる「階層管理」の重要性
BPMNの階層化は、見る人によって情報の粒度を変えるための技術です。経営層には大まかな全体像を、現場担当者には詳細なサブプロセスを見せることで、図の利用価値が最大化されます。


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