⑯ 業務プロセス図からムダを見つける5つの視点(ECRSの法則を活用)

業務プロセスモデリング

業務プロセス図は描けました。でも、ただの図を「利益を生む設計図」に変えるには、描かれたタスク一つ一つを「ムダ」という視点でチェックする必要があります。そのチェックリストとして世界中で使われているのが、ECRS(イクルス)の法則です。「無くせないか?」「一緒にできないか?」といったシンプルな問いをプロセス図にぶつけるだけで、隠れた非効率が一瞬で見えてきます。本記事では、ECRSの5つの視点と、それをBPMN図のどこに適用すべきかを解説します。


1. ムダ発見のフレームワーク ECRSとは何か?

ECRSは、業務改善を行う際の思考フレームワークです。

  • Eliminate (排除) → なくせないか?
  • Combine (結合) → まとめられないか?
  • Rearrange (交換) → 順序や担当者を入れ替えられないか?
  • Simplify (簡素化) → もっと簡単にできないか?

改善は、このEからSの順に行うのが効果的です。なぜなら、不要なムダを排除してから、残った業務をどう効率化するかを考えるのが合理的だからです。

2. 【E: 排除】本当に必要?プロセス図から「不要なタスク」を削除する

業務プロセス図を見て、以下のタスクがないかチェックしましょう。

  • 成果に繋がらないタスク: 「誰も読まない資料の作成」「形式的な報告のためだけの会議」など、そのタスクを止めても誰も困らないもの。
  • 古い慣習のタスク: 「紙での保管」「ハンコによる確認」など、デジタル化された今、不要になったタスク。

BPMN図から、これらのアクティビティを完全に削除できないか検討しましょう。

3. 【C: 結合】部門間の連携をスムーズに!タスクをまとめる視点

  • 類似タスクの結合: 異なる担当者が同じシステムにログインして、類似のデータをチェックしているタスクがないか。
  • 情報連携の結合: 複数の部門への報告タスク(矢印)を、一つのクラウドツールへのデータ入力で完了できないか。

4. 【R: 交換】最適な担当者に変える、システムに任せる

  • 順序の交換: 「承認」を「実行」の後ではなく、事前にできないか?(例:高額な発注の事前承認)
  • 担当者の交換: 専門性や効率を考慮し、スイムレーン(担当者)を入れ替えることで効率が上がらないか?(例:単純入力はアルバイト、複雑判断は正社員)
  • システムへの交換: 人間の手作業をRPAやSaaSに交換できないか?(No.18参照)

5. 【S: 簡素化】作業を劇的に楽にする「タスクの簡略化」

  • 判断基準の簡素化: 複雑なゲートウェイ(ひし形)を、チェックリストやYes/Noの二択で済むようにルール化する。
  • 入力フォームの簡素化: 顧客や社員に入力させるフォームを、必要最低限の項目に絞る。

【まとめ】ECRSでプロセス図を「利益を生む設計図」に変えよう

ECRSの視点を持ってプロセス図を見直せば、必ずどこかにムダが見つかります。このフレームワークを活用し、あなたのプロセス図を「描いて終わり」ではなく「利益を生む設計図」へと変えていきましょう。

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