導入:記述問題は「作文」ではない、明確な「論述」だ
日本語教員試験において、合否を分けるのが「記述式問題」です。試験の最後に出題されるこの論述問題は、知識を暗記しているだけでは高得点が取れません。問われているテーマに対し、論理的かつ日本語教育の専門的な視点で解答を構成する能力が求められます。
「文章力がないから不安」「何から書けばいいか分からない」と感じている方も多いでしょう。
本記事では、記述式問題で合格ラインを超えるための採点基準と構成のテンプレートを公開し、さらに独学では難しい添削指導の必要性についても解説します。
1. 採点官が重視する「記述問題」の3つの評価ポイント
記述問題は感情的な「作文」ではなく、知識に基づいた「論述」です。採点官は主に以下の3つのポイントを評価しています。
評価ポイント1:問われている核心の理解
- 重要: 問題文で問われている「具体的な課題」(例:学習者のモチベーション低下、多文化共生社会での教師の役割)を正確に捉え、一つ目の段落で明記できているか。
評価ポイント2:専門知識と具体例の関連付け
- 重要: 自分の主張を裏付けるために、日本語教育能力検定試験の出題範囲に含まれる専門用語(例:バランシングアクト、習得順序、中間言語)を適切に使用し、具体的な教育現場の事例と関連付けられているか。
評価ポイント3:論理的な構成力と結論の提示
- 重要: 「序論(問題提起)→ 本論(論拠・具体策)→ 結論(まとめ・展望)」の明確な三部構成になっており、矛盾がないか。
2. 合格ラインを超えるための「記述テンプレート」
独学者でも迷わず書き進められる、論理的な構成テンプレートです。
| 構成要素 | 内容と役割 | 目安の文字数 |
| 序論 (第1段落) | 問題の提示: 問題文が示す課題(テーマ)の現状と重要性を述べ、本論で何を論じるかを宣言する。 | 20% |
| 本論 (第2~3段落) | 専門的な考察: 課題の原因を専門用語を用いて分析し、それを解決するための具体的な施策を2点以上提示する。 | 60% |
| 結論 (第4段落) | まとめと展望: 提示した施策の有効性を簡潔にまとめ、今後の日本語教育にどのような影響を与えるかという展望を述べる。 | 20% |
【記述のコツ】 複雑な文体は不要です。「〜である」「〜と考える」のように簡潔な断定表現を使い、字数が足りなければ本論の具体策を増やすことを意識しましょう。
3. 独学の限界を克服する「添削指導」の必要性
記述問題対策において、独学の最大の壁は「自己評価の困難さ」です。自分の文章が本当に採点基準を満たしているか、専門用語の使い方が正しいかは、自分では判断できません。
- 添削指導のメリット: プロの講師から、専門的な視点での構成、論理展開、専門用語の誤用の指摘を受けられるため、自己流の癖を早期に修正できます。
合格を確実にするため、記述式対策に特化した単発の添削指導サービスへの投資を検討しましょう。


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