⑳ プロセスの改善は「永遠」の投資。PDCAサイクルを回すための計測と見直し方

業務プロセスモデリング

業務プロセスモデリング(BPMN)を使ってムダを削減し、業務を効率化した。これで一安心、と思っていませんか?実は、業務改善は一度やったら終わりではありません。市場や技術は常に変化するため、昨日最速だったプロセスが、今日はボトルネックになっている可能性もあります。真に利益を生み出し続ける会社は、この改善を「永遠の投資」と捉え、継続的にテコ入れしています。本記事では、改善後のプロセスを再び計測し、より高いレベルへ引き上げるためのPDCAサイクルの回し方を具体的に解説します。


1. 「改善のゴール」を数値化していますか?:測定すべきKPIの設定

業務改善の成否は、感覚ではなく「数字」で判断すべきです。新しいプロセスを始める前に、必ず比較するためのKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。

  • 処理時間(Cycle Time): 顧客からの注文受付から納品完了までの時間など、プロセス全体にかかる時間。
  • エラー率(Defect Rate): 請求書の発行ミス率、顧客からのクレーム件数など、品質に関わる指標。
  • 工数(Effort): 改善されたタスクに費やされた総時間(残業時間、人件費)。

中小企業向け: 大掛かりなシステムは不要です。まずはエクセルで、改善対象プロセスの開始時刻と終了時刻を記録するだけでも十分なデータになります。大切なのは、改善前と後で同じ指標を測ることです。

2. 実行(Do)と検証(Check)の間に隠されたワナ

新しいプロセス図(To-Be)に従って業務を「実行(Do)」した後、最も重要なのが「検証(Check)」です。

  • 計画通りに進まなかった原因を特定する:
    • 原因が人にある場合: 研修不足、マニュアルの不備など、教育面での見直しが必要です。
    • 原因がプロセスにある場合: 図で想定しなかった「例外処理」が頻繁に発生しているかもしれません。すぐにBPMN図に戻り、例外処理の分岐(ゲートウェイ)を修正しましょう。
  • データで検証する: 設定したKPI(処理時間、エラー率など)を基に、目標値に達しているかを確認します。目標未達であれば、プロセス図のどのタスクに時間がかかっているかを特定します。

3. プロセス図を「生きたマニュアル」にする見直し(Act)の仕組み

検証の結果、プロセスに修正が必要と判断したら、次の「処置(Act)」に移ります。

  • BPMN図の修正・更新: 現実の業務に合わせて、BPMN図をすぐに修正します。この図こそが「生きたマニュアル」であり、古い情報を持つ図は混乱の元です。
  • プロセス監査の推奨: 外部環境や技術(SaaSなど)の変化は速いため、最低でも年に一度は全主要プロセスを見直す「プロセス監査」を実施する仕組みを作りましょう。
  • ツール連携の最適化: 新しいSaaSや機能がリリースされたら、プロセス図を参考に、どこに組み込めばさらに効率が上がるかを検討します。

【まとめ】継続的なプロセス改善がもたらす「変化に強い会社」という最大の利益

業務プロセス改善のサイクルを回すことは、単にムダを削るだけでなく、「変化に対応できる強い会社」を作る最大の利益となります。今日のベストプラクティスは明日にはムダになるかもしれません。PDCAサイクルを習慣化し、常に最高の状態で業務を回し続けましょう。

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