業務プロセス図は描けました。でも、ただの図を「利益を生む設計図」に変えるには、描かれたタスク一つ一つを「ムダ」という視点でチェックする必要があります。そのチェックリストとして世界中で使われているのが、ECRS(イクルス)の法則です。「無くせないか?」「一緒にできないか?」といったシンプルな問いをプロセス図にぶつけるだけで、隠れた非効率が一瞬で見えてきます。本記事では、ECRSの5つの視点と、それをBPMN図のどこに適用すべきかを解説します。
1. ムダ発見のフレームワーク ECRSとは何か?
ECRSは、業務改善を行う際の思考フレームワークです。
- Eliminate (排除) → なくせないか?
- Combine (結合) → まとめられないか?
- Rearrange (交換) → 順序や担当者を入れ替えられないか?
- Simplify (簡素化) → もっと簡単にできないか?
改善は、このEからSの順に行うのが効果的です。なぜなら、不要なムダを排除してから、残った業務をどう効率化するかを考えるのが合理的だからです。
2. 【E: 排除】本当に必要?プロセス図から「不要なタスク」を削除する
業務プロセス図を見て、以下のタスクがないかチェックしましょう。
- 成果に繋がらないタスク: 「誰も読まない資料の作成」「形式的な報告のためだけの会議」など、そのタスクを止めても誰も困らないもの。
- 古い慣習のタスク: 「紙での保管」「ハンコによる確認」など、デジタル化された今、不要になったタスク。
BPMN図から、これらのアクティビティを完全に削除できないか検討しましょう。
3. 【C: 結合】部門間の連携をスムーズに!タスクをまとめる視点
- 類似タスクの結合: 異なる担当者が同じシステムにログインして、類似のデータをチェックしているタスクがないか。
- 情報連携の結合: 複数の部門への報告タスク(矢印)を、一つのクラウドツールへのデータ入力で完了できないか。
4. 【R: 交換】最適な担当者に変える、システムに任せる
- 順序の交換: 「承認」を「実行」の後ではなく、事前にできないか?(例:高額な発注の事前承認)
- 担当者の交換: 専門性や効率を考慮し、スイムレーン(担当者)を入れ替えることで効率が上がらないか?(例:単純入力はアルバイト、複雑判断は正社員)
- システムへの交換: 人間の手作業をRPAやSaaSに交換できないか?(No.18参照)
5. 【S: 簡素化】作業を劇的に楽にする「タスクの簡略化」
- 判断基準の簡素化: 複雑なゲートウェイ(ひし形)を、チェックリストやYes/Noの二択で済むようにルール化する。
- 入力フォームの簡素化: 顧客や社員に入力させるフォームを、必要最低限の項目に絞る。
【まとめ】ECRSでプロセス図を「利益を生む設計図」に変えよう
ECRSの視点を持ってプロセス図を見直せば、必ずどこかにムダが見つかります。このフレームワークを活用し、あなたのプロセス図を「描いて終わり」ではなく「利益を生む設計図」へと変えていきましょう。


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