中小企業の経理業務は、月末や月初に請求書の確認や支払い処理が集中し、常に残業との戦いになりがちです。手作業による入力ミスや、上長への承認待ちなど、一見小さなムダが大きな時間ロスにつながっています。BPMNを使って請求書発行・支払プロセスを客観的に図にすれば、経理ソフトやクラウドサービス導入でどこが自動化できるかが明確になります。本記事では、経理業務を効率化し、担当者を残業から解放するための具体的な改善手順を解説します。
1. 経理業務に潜む「ムダの温床」:手作業と承認待ちプロセス
経理部門のムダの多くは、非付加価値作業(利益に直接つながらない作業)です。
- 二重入力: 営業が作成した請求情報を、経理担当者が会計ソフトに手動で再入力する。
- 承認フローの停滞: 紙の請求書や伝票を上長に回すための「待ち時間」(ゲートウェイ)。
- 確認作業: 入力ミスがないか、紙とデータの両方を照合する時間。
2. 請求書受領から支払処理までの「As-Is(現状)」プロセス図を描く
まずは現状のプロセス図(As-Is)を描き、手作業や承認待ちのボトルネックがどこにあるかを特定します。
- プール: 営業、経理、社長(承認者)
- タスク: 請求書を印刷する、封入する、手渡しで承認を求める、エクセルに入力する
この図から、紙を扱うタスクや手渡しで部門をまたぐタスクがムダの原因であることが浮き彫りになります。
3. To-Be(改善後)のプロセス:クラウド会計導入で消えるタスク
デジタル化されたプロセス図(To-Be)では、ムダなタスクが消滅します。
- 承認プロセスの自動化:
- 改善前: 承認(ゲートウェイ)は紙ベースで時間がかかる。
- 改善後: クラウドワークフローSaaSを導入し、承認はシステム上で完結。時間短縮。
- データ入力の自動化:
- 改善前: 営業データと経理データの手動入力(二重入力)。
- 改善後: クラウド会計を導入し、営業が登録したデータが自動で経理データに変換される。手動入力のタスクが消滅。
【まとめ】BPMNは経理の時間を「未来の経営分析」のために解放する
BPMNで経理プロセスを改善することは、残業代を減らすだけでなく、担当者の時間を「過去の記録」から「未来の経営分析」にシフトさせることにつながります。経理の効率化こそが、経営のスピードアップに貢献します。


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