業務プロセス図を描き始めた人が最初につまずくのが、「どこから始めて、どこで終わればいいのか?」というスコープ(範囲)の決定です。この「開始」と「終了」を曖昧にしてしまうと、図は無限に広がり、改善の目的がブレてしまいます。BPMNでいう「イベント」は、プロセスの境界線を決める重要な記号です。本記事では、あなたの描くプロセス図が迷走しないよう、プロセス図の目的を明確にする「開始イベント」と「終了イベント」の正しい設定方法を解説します。
1. なぜ「イベント」の設定がプロセス図の成否を分けるのか?
イベント(円形の記号)は、「誰が」「何を」改善するのかというプロセスの範囲を決定します。
- 問題: 開始イベントがないと、「どこまでさかのぼって描けばいいのか」が曖昧になり、図が不必要に長くなります。
- 効果: イベントを明確にすることで、図の目的が**「この範囲内のムダを見つけること」**に限定され、改善に集中できます。
2. 始まりを定義する!「開始イベント」の正しい書き方
プロセスを開始させる「きっかけ」を具体的に定義しましょう。
- 業務例:
- メッセージ開始: 「顧客から注文メールを受信」
- タイマー開始: 「毎月月末の17時」
- シグナル開始: 「在庫数が閾値を下回った」
- 原則: イベントは必ず「名詞+動詞」で具体的に記述し、誰が見ても同じ状況を指すようにします。
3. 終わりを定義する!「終了イベント」でプロセスを完了させる
終了イベントは、「プロセスが期待された結果を達成した」状態を意味します。
- 業務例:
- メッセージ終了: 「顧客に納品完了メールを送信」
- 単純終了: 「製品の納品完了」
- 例外終了: 「在庫不足により注文キャンセルを顧客へ連絡」
- 注意: プロセスの完了は必ずしも一つではありません。正常な完了と異常な完了の両方を定義することが重要です。
4. 【実践】イベントの設定で「給与支払いプロセス」の範囲を明確にする
(※具体的な業務例として、給与支払いプロセスを「勤怠データ確定から銀行振込完了まで」のようにスコープを区切る例を解説)
【まとめ】正確なイベント設定が、ムダを見つけるための「測定基準」となる
イベントを明確に定義することは、プロセスの実行時間を計測するための「ストップウォッチのスタートとストップ」を決めることです。図を描く前に、このイベント設定から始めましょう。


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