⑤ 最初の一歩:何から記録する?中小企業が「まず集めるべきデータ」3選

データに基づいた意思決定

📝 はじめに

データ活用の最初の壁は、「何を、どう集めたらいいか分からない」ことです。いきなり全業務のデータを集めようとすると挫折します。

中小企業がデータドリブン経営を始めるにあたり、最も優先度が高く、意思決定に直結する「まず集めるべきデータ」を3つに絞ってご紹介します。

1. 顧客データ:なぜ「誰が買ったか」を深く知るべきか

  • データ項目例:
    • 基本情報: 氏名、連絡先、居住地域(市区町村まで)。
    • 購買行動: 最終購買日、累計購買金額、購入商品、頻度。
    • 属性情報: どこで当社を知ったか(Web、チラシ、紹介)。
  • 意思決定への貢献:
    • 集客戦略: 広告を打つべき地域や媒体が明確になる。
    • 優良顧客の特定: 利益に貢献している顧客層を把握し、その層にリソースを集中できる。
    • (関連ツール:Excel、簡易CRM)

2. 売上・利益データ:単なる「金額」以上の意味

  • データ項目例:
    • 分解: 「いつ(日・週・月)」、「誰が(担当者)」、「どこで(地域・店舗)」、「何を(商品カテゴリ)」の組み合わせ。
    • 利益: 単なる売上ではなく、「商品ごとの原価率」や「粗利益」。
  • 意思決定への貢献:
    • 問題の特定: 「全体売上は横ばいだが、実は担当者Aの特定商品カテゴリだけが落ちている」といった隠れた問題を早期発見できる。
    • 在庫最適化: 利益率の高い商品を優先して仕入れ・製造する判断ができる。
    • (関連ツール:Excel、会計ソフト)

3. 顧客行動データ:離脱と興味の「兆候」を掴む

  • データ項目例:
    • Webアクセス: どのページが最も見られているか、どこでサイトを離脱しているか。
    • チャット/問い合わせ: どの商品に関する問い合わせが多いか(テキストデータ)。
    • SNS反応: どの投稿の「いいね」や「コメント」が多いか。
  • 意思決定への貢献:
    • 商品開発: 問い合わせの多い商品や、興味度が高い(閲覧時間が長い)商品に注力できる。
    • Web改善: 離脱箇所を改善し、コンバージョン率を高められる。
    • (関連ツール:Google Analytics、SaaSツールのログ)

📌 まとめ

データ活用は、「誰が、いつ、いくら、何を買ったか」という基本データを正確に記録するところから始まります。これらのデータが揃えば、次の記事で解説する「データ整理の基本ルール」に進む準備ができます。

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