BPMN（Business Process Model and Notation）という言葉を聞いて、「難しそう」「IT部門の専門用語だ」と感じる経営者の方もいるかもしれません。しかし、この記号は、あなたの会社の利益構造そのものを最も正確に表す「設計図」です。BPMNは、部門間の認識のズレをなくし、どこにムダがあるかを客観的に特定するための国際共通語です。本記事では、経営判断を下す立場として、BPMNがどのように会社の利益に直結するのかを、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
1. BPMNは「業務の国際共通語」：誰が見ても同じ理解ができるメリット
業務プロセスの表現が人によってバラバラだと、システム開発や外部委託時に「認識のズレ」が発生し、手戻りやコスト増の原因になります。
- メリット: BPMNという国際共通語を使えば、どの部門の社員も、外部のコンサルタントも、システム開発者も、図を見た瞬間に同じ業務の流れを正確に理解できます。これは、スピード経営の基盤です。
2. 経営者が注目すべき3つのBPMN要素
経営者が図から「利益」を見つけるために、特に注目すべき要素は以下の3つです。
- 1. スイムレーン（担当者/部門）: 複数のレーンを頻繁にまたぐ矢印は、連携コストを示します。
- 2. ゲートウェイ（判断/分岐）: ここが複雑で曖昧な場合は、意思決定の遅延リスクを示します。
- 3. イベント（開始/終了）: プロセスの境界線が明確なので、「この業務はどれくらいの時間とコストがかかっているか」という測定基準をすぐに設定できます。
3. 「図がない」ことによる企業の隠れた損失（機会損失、品質低下）
業務プロセス図がない状態は、地図がないまま航海するようなものです。
- 損失の例:
- 機会損失: 受注プロセスが遅いため、顧客を逃す（No.13参照）。
- 品質低下: 担当者によって手順が異なり、製品やサービスの品質にバラつきが出る。
【まとめ】BPMNは「感覚経営」から「データ経営」への脱却を可能にする
BPMNは、業務の「現状」を正確に把握し、そこから「理想」の姿を描くための言語です。経営判断を「勘」ではなく、プロセスという「データ」に基づいて行うための強力なツールとして活用しましょう。
コメント