⏳ はじめに
中小企業は、大企業のように潤沢な時間や人員、予算がありません。施策を実行する際、「すべてやる」ことは不可能であり、「最も効果の高いもの」から順に実行するための、鋭い優先順位付けのスキルが必要です。
データは、限られたリソースを最もリターンが大きい(ROIが高い)施策に集中させるための羅針盤となります。ここでは、データに基づいた優先順位付けの基本原則を見ていきましょう。
1. パレートの法則(80:20の法則)で「集中すべき20%」を見つける
- 法則の概要: 売上全体の80%は、上位20%の顧客、商品、または営業担当者によって生み出されていることが多いという経験則です。
- 意思決定への活用:
- 顧客データ分析: 累計売上高の上位20%の優良顧客を特定し、その顧客層へのサービスやフォローを他の80%より手厚くする。
- 商品データ分析: 売上または利益の80%を稼いでいる20%の商品を特定し、その商品の在庫や製造を最優先する。
- 効果: 無駄な作業を減らし、会社の利益に直結する施策にリソースを集中投下できます。
2. 「効果の大きさ」と「コスト(工数)」の2軸で評価する
施策を判断する際には、データに基づき、以下の2軸でマトリクスを作成します。
- インパクト(効果の大きさ): 施策を実施した場合のKPIの改善幅(データ予測値)。
- コスト(費用と工数): 施策を実施するのにかかる費用と、必要な時間・人員。
| インパクト(大) | インパクト(小) | |
| コスト(小) | 最優先で実行!(ローリスク・ハイリターン) | 実行しなくても良い |
| コスト(大) | 検討/検証(ハイリスク・ハイリターン。A/Bテストなどで検証してから) | 即座に中止(ハイリスク・ローリターン) |
3. 「やらないこと」を決める勇気
データに基づいた優先順位付けの真の目的は、「やらないこと」を決めることです。データが「効果が薄い」と示している施策は、社長の個人的な好みや、過去の慣習であっても、勇気を持って中止しましょう。
📌 まとめ
データは、中小企業の貴重なリソースを最大限に活かすための戦略ツールです。パレートの法則やインパクト/コスト分析を使い、常に「最もリターンの大きい施策」から実行する習慣をつけましょう。次回の記事では、施策の「正解」を見つけるための簡単な検証方法を紹介します。


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