🛑 はじめに
「今月の売上が落ちた…」この状況に直面したとき、多くの人は「景気が悪い」「季節的なものだ」といった漠然とした理由で片づけてしまいがちです。しかし、データドリブン経営では、「真の原因」を特定し、対策を打つことが求められます。
複雑な統計手法は不要です。中小企業でも実践できる、売上低下などの問題の「要因分析」をシンプルに進める3つのステップをご紹介します。
ステップ1:分解(全体を疑い、内訳をチェック)
問題が起きたら、まず全体を構成する要素に分解して、「どこで問題が起きているか」を特定します。
- 分解の切り口例:
- 売上を分解: $\text{売上} = \text{顧客数} \times \text{平均単価}$
- 顧客数を分解: $\text{顧客数} = \text{新規顧客数} + \text{既存顧客数}$
- 具体的なアクション: 今月の売上低下は、「客数」によるものなのか、「単価」によるものなのか?さらに掘り下げて、「新規客が減ったのか、リピート客が減ったのか?」を特定します。
ステップ2:比較(正常時・目標とのズレを確認)
問題発生箇所を特定したら、その数値が「正常な状態」や「目標」とどれだけズレているかを比較します。
- 比較対象例:
- 目標値(今期計画)
- 前年同月(季節性考慮)
- 前月比(直近の変動確認)
- 具体的なアクション: 「新規顧客数は前年同月比で20%も減っている」という事実を確定させ、「新規顧客獲得施策のどこかに問題がある」と仮説を絞り込みます。
ステップ3:相関関係の検証(真の原因を絞り込む)
絞り込んだ「新規顧客の減少」の背後にある、複数の施策データとの関連性(相関関係)をチェックします。
- チェック例:
- 新規顧客減少と、広告費削減は同時に起きているか?
- 新規顧客減少と、営業担当者の平均訪問件数低下は同時に起きているか?
- 新規顧客減少と、Webサイトのアクセス数低下は同時に起きているか?
ここで「広告費を削減した直後から、新規顧客が減り始めている」という相関が見つかれば、「広告費の削減」が「新規顧客減少」の有力な原因であると結論づけられます。
📌 まとめ
問題解決は、勘や推測から始めるのではなく、分解→比較→相関検証というロジカルなステップで進めることが重要です。これができれば、「景気のせい」ではなく「〇〇の施策の問題」として具体的な次の手を打てます。次回の記事では、顧客データ活用術の基本を見ていきましょう。


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