⑨アンケートで終わらせない!DX教育後の「学習定着率」を高める仕組み

2) 設計編

🎓 はじめに

時間と費用をかけてDX教育を実施しても、「研修を受けて終わり」では意味がありません。中高年社員が学んだ知識やスキルを日常業務で使い続け、組織文化として定着させることが重要です。

DX教育後の学習定着率は、研修内容よりも「研修後のフォロー体制」によって決まります。ここでは、アンケートや報告書提出で終わらせない、具体的な定着率向上の仕組みをご紹介します。

1. 現場の「DX推進担当者(アンバサダー)」を任命する

研修修了者をそのまま現場に戻すだけでは、数日後には元のやり方に戻ってしまいがちです。

  • 役割の明確化: 各部署に「DX推進担当者」(DXアンバサダー)を任命します。この担当者は、講師ではなく、「日常的な操作の疑問を解消するサポート役」であり、「ちょっとした相談に乗る人」です。
  • ベテランをあえて任命: ITスキルが高い人だけでなく、コミュニケーション能力が高く、他の中高年社員から信頼されているベテランを任命することで、質問しやすい雰囲気を作れます。

2. 「復習セッション」と「活用事例の共有」を定期化

学習内容が薄れないよう、定期的かつ短時間での復習の機会を設けます。

  • 週に一度の「クイックレビュー」: 毎週月曜日の朝礼で「この一週間で新しく学んだDXツールをどう使ったか」を1人1分で共有する時間を設ける。
  • 成功事例の「DX社内報」: 「Aさんがチャットツールのこの機能を使って、顧客対応時間を10分短縮しました」といった具体的な成功事例を定期的に社内報やチャットで共有し、「他の人もやっている」という安心感と刺激を与える。

3. 「ツール利用率」と「業務改善効果」を可視化する

定着度を測るための指標を設定し、それを全社員に公開します。

  • ツールの利用頻度: クラウドストレージへのログイン率、チャットの発言数などを計測する(ツールによっては自動で計測可能)。
  • 業務改善の成果: 研修前に設定したKPI(例: 紙の書類の削減枚数、会議時間の短縮率)を計測し、「研修のおかげで、これだけ成果が出た」というフィードバックを社員に行う。

ポジティブな成果が可視化されることで、社員は「学んだ甲斐があった」と感じ、学習を続ける意欲につながります。


📌 まとめ

学習定着率を高めるには、「研修後の孤独な闘い」をなくすことです。現場でのサポート体制と、定期的な復習・成功事例の共有によって、DX教育の成果を会社の資産に変えていきましょう。次回の記事では、教育を担う「教える人」の選び方について解説します。

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