🧑🏫 はじめに
中高年社員向けのDX教育プログラムが完成したら、次に考えるべきは「誰に教えるか」です。講師の質は、研修の成否を大きく左右します。特に中小企業の場合、限られたリソースの中で、社内の知識と外部の専門性をいかにバランス良く活用するかが鍵となります。
ここでは、社内講師と外部講師、それぞれの選び方と、中高年社員を指導できる人材を育成する方法について解説します。
1. 外部講師(最新動向と専門知識の導入)
- メリット:
- 最新のDXトレンドや知識を効率的に導入できる。
- 社内政治や慣習に縛られず、客観的な視点で教育を遂行できる。
- デメリット:
- コストがかかる。
- 現場の業務フローや「暗黙のルール」を理解していない場合がある。
- 活用すべき場面:
- DXの概念や意義、経営戦略など、知識のインプットが必要な導入フェーズ。
- RPAやSFAなど、専門性の高い特定ツールの基礎操作を教えるとき。
📌 選び方のポイント: 講師の選定は、「どれだけ現場に寄り添った指導ができるか」を重視しましょう。中小企業の成功事例を多く持っているか、専門用語を避けた指導が可能かを確認してください。
2. 社内講師(現場知識と継続サポート)
- メリット:
- 具体的な業務に合わせた教育ができ、社員の納得感が高い。
- 研修後も社内にいるため、継続的なサポートが可能。
- コストを抑えられる。
- デメリット:
- 教え方が専門的になりすぎたり、教える人の業務負担が増えたりする。
- 活用すべき場面:
- 導入後のフォローアップや、社内ルール(例: ファイル名の付け方)に合わせた実践的な演習。
- 若手社員による「逆メンター制度」として、ツールの具体的な使い方を教えるとき。
📌 社内講師育成のコツ:
社内講師には、「教えるスキル」を別途研修で学んでもらう必要があります。特に「専門用語を使わず、相手のペースに合わせて教える方法」をトレーニングしましょう。そして、教育を「業務」として評価し、負担を軽減することが重要です。
3. ベテラン社員を「教える役」に任命する(モチベーション向上)
ベテラン社員を「DXサポーター」や「ITに詳しいお助け係」として任命し、教える側に回ってもらうことは、中高年層のモチベーションを高める最も効果的な方法の一つです。
- 自身の再学習: 人に教えるためには、自分自身が深くツールを理解する必要があり、再学習の最高の機会となります。
- 自己肯定感の向上: 「会社に貢献できている」「自分の価値が再認識された」という自己肯定感が向上し、抵抗勢力になることを防げます。
📌 まとめ
教育プログラムの成功は、外部の専門性と、社内の現場知識の適切な組み合わせにかかっています。特にベテラン社員を「教える側」に回すことで、教育効果とモチベーションの両方を最大化することができます。
【II. 設計編】は以上です。次はいよいよ【III. 実践・モチベーション編】に入り、現場でDX教育を定着させる具体的な工夫を見ていきます。


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