⑬明日から使える!中高年社員向け研修で絶対に外せない「教え方のコツ」

3) 実践編

📘 はじめに

中高年社員へのDX教育は、若手社員やIT担当者への指導方法とは根本的に異なります。彼らは業務知識は豊富でも、ITに関する専門用語や概念には慣れていません。

教育担当者が「明日から使える」ように、中高年社員の特性を踏まえた「絶対に外せない教え方のコツ」を3つご紹介します。

1. 専門用語は「業務の比喩」に置き換える

IT用語をそのまま使うと、内容を理解する前に拒否反応を示してしまいます。必ず、彼らが長年親しんできた業務用語や日常の比喩に置き換えて説明しましょう。

IT用語NGな説明OKな比喩・説明
クラウドサーバー側で仮想化されたストレージサービスです。鍵付きの共有ロッカーのようなものです。どこにいても、スマホで鍵を開けて書類を取り出せます。」
メンション(@)該当のアカウントに通知を送る機能です。「チャット上で相手の名前を呼ぶ、『〇〇さん、ちょっと!』と声をかけるのと同じことです。」
RPAロボティック・プロセス・オートメーションです。優秀な新入社員が、面倒なデータ入力だけを代わりにやってくれるイメージです。」

2. 「なぜ」を強調し、「結論」から伝える

ベテラン社員は「目的」や「合理性」を重視します。「この機能を使うと、あなたの仕事がどう変わり、会社にどんなメリットがあるか」を最初に伝えましょう。

  1. 結論(メリット): 「この操作を覚えると、毎日の日報作成が5分短縮できます。」
  2. 根拠(なぜ): 「なぜなら、クラウド上でデータが自動連携されるからです。」
  3. 手順(How): 「では、その手順を実際にやってみましょう。」

先にメリットを提示することで、「学ぶ価値がある」と納得し、集中力が増します。

3. 徹底した「見守り学習」と「スローペース」

教える側が早口になったり、参加者の理解度を確認せずに進めたりするのは厳禁です。

  • 操作は「一動作一区切り」: 「まずマウスを動かして、次にこのボタンをクリックしてください(見守る)」と、一つ操作を指示するごとに、全員がその操作を完了したかを確認する時間を設ける。
  • 「困っているサイン」に気づく: 参加者の手元を積極的に回り、操作が止まっている人や、画面を凝視している人を見つけたら、「操作はここまで合っていますよ」と声をかけて安心させる。

📌 まとめ

中高年社員向けの教育は、「わかる」ではなく「できる」ようにすることが目標です。比喩表現でハードルを下げ、スローペースで「置いていかない」指導を徹底しましょう。次回の記事では、忙しい中小企業でも学習を継続させるための秘訣を紹介します。

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